【乳がん】ブレスト・アウェアネスについて

乳がんは、女性がかかるがんの第一位となっていて、誰もがなりうる病気です。

 

2018年のがん統計によると一生のうちに乳がんを発症する女性は、9人に1人。

乳がんのリスクを高める要因としては、
・家族内で乳がんにかかった人がいる

・初潮が11歳以下と早く、閉経が55歳以上と遅い

・初産年齢が30歳以上、出産経験がない
・飲酒、閉経後の肥満、運動不足といった生活習慣
などです。

40歳代から50歳代で発症する方が増加するので、この年代の方は特に注意が必要になります。

しかし、乳がんは早期に発見し、治療をすれば約97%が良好な経過が期待できるがんです。

早期発見のためには、日ごろから自分自身の乳房の状態を知り変化があった時に気づけることが大切です。

ブレスト・アウェアネス(Breast Awareness)とは?


ブレスト・アウェアネスとは、「乳房を意識する」生活習慣のこと。
つまり自分自身の健康を意識し、理解し、正しく判断する力(ヘルスリテラシー)のことです。

あなたの乳房の状態は普段と変わりありませんか??

自分の乳房に日ごろから関心を持ち、乳がんの早期発見、早期治療につなげましょう。

ブレスト・アウェアネスの4つの基本アクション

① 乳房の状態を知る
お風呂に入ったり、着替えるときなど、日頃から、自分の乳房を見て、触って、感じて、乳房を意識してみましょう。

「自分の乳房は、普段と変わりがないかな?」という気持ちで、乳房を意識する時間を持ちましょう。普段の状態を知っていれば、乳房に何か変化があったときに気づきやすくなりますよ!

 

② 早く変化に気づくこと

「なんだかいつもと違うかも?」
小さな変化にも早く気がつくことができれば、乳がんの早期発見につながります。乳房のしこり、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照、乳頭から分泌物が出る、乳房の痛みなどの変化はありませんか?

 

③ 変化に気がついたらすぐに医療機関を受診

何か変化に気がついた時には、迷わず専門医の診察を受けましょう。
もちろん、全ての変化が乳がんではありませんが、もしかしたら、初期の乳がんの可能性もあります。

 

④ 40歳になったら定期的に乳がん検診

40歳を過ぎたら、2年に1回マンモグラフィを使用した乳がん検診を受けること。早期のがんは、自覚症状がないことも多いため、検診で早期発見につなげましょう。

乳がんのセルフチェック

乳がんで気をつける範囲は、鎖骨から肋骨の下・外側は脇の下まで。お風呂や着替えのタイミングなど、常日頃から行っていきましょう。

4本の指を揃えて指の腹を乳房に押し付けるようにして渦を描くように指を動かす。また、乳腺を確かめるように、上下に指を滑らせてチェックします。

(1)まずは、鏡の前に立ち、両腕を上げ下げして、乳房の形・大きさ・くぼみ・ひきつれを観察します。

(2)仰向けになって、乳房の中心から周囲へ向かって軽く圧迫し、しこりの有無を観察します。

(3)わきの下に指先を入れ、しこりの有無を観察する。

(4)乳首からの血性分泌物の有無を観察します。

しこりを感じた場合や、いつもと違うと感じた場合は、自己判断せず、必ず受診するようにしましょう。

乳がんについてもっと詳しく知る


乳がんの予防

現代では、完全に乳がん発症を予防する方法はありません。しかし、がん発症のリスクを下げる方法はわかってきました。

国立がん研究センターの日本人を対象とした研究によると、がん予防には、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」(感染予防)など、生活習慣が効果的といわれています。中でも乳がんを予防するためには、飲酒を控え、閉経後の肥満を避けるために体重を管理し、適度な運動を行うことが良いと考えられています。

乳がん検診について

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。

40歳以上の女性は2年に1回、乳がん検診を受けましょう。ほとんどの市町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができます。検診の内容は、乳房専用のレントゲン検査である、マンモグラフィ(乳房X線検査)と問診が主になります。

 

高濃度乳房(デンスブレスト)について
乳腺の密度が高い高濃度乳房(デンスブレスト)の人は、がんを見逃しやすいので超音波(エコー)検査との併用が勧められています。自分が、デンスブレストかどうかは、マンモグラフィの画像を診断する時にわかります。乳腺濃度の低い順に、脂肪性(fatty)、乳腺散在(scattered)、不均一高濃度(heterogeneous dense)、高濃度(extremely dense)の4段階に分けることが決められています。不均一高濃度、高濃度がデンスブレストにあたります。また、検査の結果が「要精密検査(がんの疑いあり)」となった場合は、後回しにしないで、必ず精密検査を受けましょう。

一生付き合っていく心と体の健康のこと。正しく知って、自分の体を守るためのアクションを起こしていきましょうね!


動画で見る

この動画は愛知県小牧市保健センターとNPO法人ちぇぶらの協働事業で制作しています。

監修医師:三輪 貴彦 (みわレディースクリニック院長) 産婦人科・乳腺外科・母体保護法指定医

<参考文献>

1)女性の健康推進室 ヘルスケアラボ 乳がんチェック.

2)患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版.

3)オープンセサミシリーズ看護学②成人看護学,編著:東京アカデミー,発行人 佐川 泰宏,発行所 (株)ティーエーネットワーク.

4)がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(健発第0331058号平成20年3月31日厚生労働省健康局長通知別添),(令和3年10月1日).

5)第33回がん検診のあり方に関する検討会(議事録),健康局がん・疾病対策課,令和3年8月5日(木),13:00~15:00.

6)乳房:[国立がん研究センター がん統計],公益財団法人がん研究振興財団,2022年.